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感想【モンテ=クリスト伯】

アレクサンドル・デュマ先生の小説モンテ=クリスト伯の感想を書きたいと思います。

※ネタバレしますのでこれから読む方は気をつけて下さい。

デュマ先生のお子さんも小説家だったため、このモンテ=クリスト伯や三銃士を執筆したお父さんは大デュマ、お子さんは小デュマとフランスでは言われて判別したりしているそうです。

日本では「巌窟王」の題名でも有名ですね。

これを訳した黒岩 涙香先生が、当時の日本人に海外の名前は馴染みがないため、日本名で訳されたときの本のことを指しますが、今でも日本では巌窟王の名で通じます。

三銃士も良いですが私はモンテ=クリスト伯が好きで、気に入ったシーンをふと読み返したりしています。

前にもどこかで書いたと思うのですが、海外文学は聖書を読んでいることが前提で書かれているようです。

このモンテ=クリスト伯は特に聖書の影響を受けているような感じも受けます。(私聖書未読ですが笑)

特に宗教書と記載されてはいなかったので、冒険小説やクライムノベルという位置付けになるのかもしれませんが、何となくヘッセ先生の知と愛、ダンテ先生の神曲、ゲーテ先生のファウストのように、宗教書と呼ばれる本と似た読後感があったような覚えがあります。

初めに神様(作者)から試練を与えられ最後は主人公の魂が救済されました……

という魂の救済をテーマにしているのが、同じ読後感でした。

というと大体の海外文学がそうな気がしてきました笑

関係ないけど被るといえば、ゲーテ先生の若きウェルテルの悩み、夏目漱石先生のこころ、ラディゲ先生の肉体の悪魔、ロレンス先生のチャタレイ夫人の恋人の読後感も私被るんですよね。

19歳の航海士、エドモン・ダンテスは数名の男性に騙され、14年間の獄中生活を送りますが、その途中にファリア神父と出会い叡智を教えられます。

ファリア神父との出会いが全ての転機で、脱獄してからはむしろダンテスのターンが終盤まで続いていた印象です。

そこからは気分爽快な復讐劇ですね。

14年間無実の罪に問われ投獄されていたのは、長きに渡り不幸としか言いようがありませんが、逆に言えばどん底の人生だったのはその14年間のみで、復讐に生きた間はアドレナリンバンバン出ていたのではないかと思っています。

ダンテスを愚かな嫉妬心で陥れるフェルナンの奥さんになったメルセデスの方が、真実を知った後は、ダンテスと反比例するかのように不幸に生きた気がします。

 ただ真実を知らなければ幸福だったかと問われればそれは否なわけで、知らないままだとフェルナンが自殺する前に投獄され、罪人の妻と後ろ指差されながら生きることになったであろうことは想像に難くないです。

だから彼女が不幸にならないように配慮し、真実を教えたダンテスの優しさだったのでしょう。

彼女もまた人生を振り回された人ですので、どうにか最後はダンテスと幸せになってほしいと思っていたのですが、とうとう最後まで一緒になれませんでした。

婚約者だったダンテスを陥れた張本人と知らず、フェルナンと結婚し、愛していた男を苛め抜き、意図されたといえダンテスを投獄させたフェルナンとの子供を設けてしまい、さらに真実を知らず家族でいたと知ったときのメルセデスの心境を思うと、彼女もまたダンテスと並ぶくらい不幸だったのではないかと、私はダンテスよりもメルセデスの精神状態が心配でハラハラしながら読んでいました。

アルベールがダンテスを家に連れてきたとき、モンテ=クリスト伯=エドモン・ダンテスと気付いた唯一の人だったので、まだ彼のことを忘れていなかったのでしょう。

それを思うと胸が締め付けられる思いがします。

最後はマルセイユで幸せに暮らせていたら良いなと願っています。

そして「船乗りシンドバッド」の下り。

私はこの船乗りシンドバッドが大好きです笑

シンドバッドとは当時のペルシャの千夜一夜物語に出てくる物語の一つですね。

アラビアン・ナイトと言ったほうが馴染み深いでしょうか?

とても長いお話ですが、1つ1つの劇中劇になっているので飽きずに読めました。

めちゃくちゃ読むのに時間はかかったんですけど、面白いのでオススメです。 

まず私はこの物語の中で一番好きなキャラクターがムッシュー・モレルです。

彼はダンテスの無実を証明するため、何度も何度もヴィルフォールに直談判し、さらには時の皇帝ナポレオンにまで訴状を出し、ダンテスの無実を訴えます。

しかし不幸にも第2復古王政期になり、そのときの訴状でボナパルティストと迫害されてしまい、以後彼の船が悪意ある何者かの意図が感じられる方法で無くなってしまったりして、破産寸前に追い込まれます。

しかし、働く従業員たちに何とか給料を捻出し、自分はパンくず等を食べたりと、このモンテ=クリスト伯における最大の良心と言って良い人物だと思います。

読み進めるための私の心の支えでした。

そんな恩人をダンテスが放っておくことはあり得ません。

モレルを何とか救いたいと、船乗りシンドバッドを名乗り、本名を隠しながらモレル一族を救います。

ダンテスはきっとモレルに迷惑をかけないよう偽名を使ったと思うのですが、最後はダンテスを見抜いているのがすごくいいんですよ。

心が洗われるようでした。

この船乗りシンドバッドの下りがお気に入りで、ふと思い出したときに読み返したりしています。

復讐方法としては、ダングラールが一番嫌な復讐かなと感じます。

フェルナンは自業自得な面があり、とにかくメルセデス側に立って読んでいたためでしょうか。

ダングラールは最後までダンテスの強い想いを感じながら、牢で生きながらえなければならないのが最大の恐怖ですよね。

あとは当時賛否両論なかったのかな、エデの思いを受けとめたのは、ダンテスもやはり男性だったか、と俗な感想を抱いてしまいました。

ここで突き放せなかったかな。

突き放していたらエドモン・ダンテス、というかモンテ=クリスト伯は孤高の存在として物語の筋道に沿っており、今までの彼の行動からして自然だったかなと感じます。

でも幸せに暮らせたなら、彼の魂の救済にはなったんでしょうか。

鮮やかな復讐劇でしたが、私はメルセデスとよりを戻して欲しかったかなと思います。

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